SimuLook · カメラからのノート

すでに撮った写真からレシピを読み取る

八か月前に撮った一枚の写りが気に入っているのに、そのときカメラに何が入っていたか 分からない。ふつうは、その情報はもう失われた、という答えになります。

失われていません。あなたのカメラが、ファイルに書き込んでいます。

すべてのJPEGが自分のレシピを持っている

カメラがJPEGを作るとき、使った設定をファイルのメタデータに記録します。フィルムシ ミュレーション、ダイナミックレンジ、二つのトーン、カラー、シャープネス、高感度ノ イズ低減、明瞭度、グレイン、二つのカラークローム系のコントロール、ホワイトバラン スのシフト。撮影に使ったレシピは、写真そのものの中に入っています。

つまり、ケーブルもカメラもない状態で復元できます。アプリで写真を指定すれば、設定 を読み出します。

そしてUSB経由の読み取りと違い、一つの機種に限られません。メタデータの形式は機 種をまたいで共通なので、対応している富士フイルムのオリジナルJPEGであれば動きます。 読み取りの結果は常に、複数の機体で撮ったコマと照合しています。

できないこと

問題になるのはオリジナルという語です。

メタデータは、カメラが書いたファイルの中にあります。スクリーンショットにはありま せん。別の編集ソフトが書き出した写真、メッセージアプリを通した写真、トリミング後 に保存し直した写真も同じです。いずれも新しいファイルが生成され、新しいファイルに はカメラではなく編集ソフトのメタデータが入ります。

カードの中や、オリジナルを保持するライブラリに元ファイルが残っているなら問題あり ません。手元にあるのがInstagramから戻ってきたものだけなら、設定は失われていて、ど のアプリにも復元できません。もっともらしい推測を出すより、正直な答えのほうがまし です。

読めないファイルについては、中途半端に埋まった画面を出す代わりに、読めないことを はっきり伝えます。

二つの問いを分けておく

設定が読み出せたあと、アプリは二つ目の問いに答えます。これは自分のどのレシピか。

この二つは確からしさがまったく違うので、アプリは見た目でも分けています。この一枚 を撮った設定は、ファイルから読み出した事実です。どのレシピと一致するかは、ス コアと、場合によっては惜しい候補を伴う判断です。

その判断を読む価値のあるものにしている規則が三つあります。

フィルムシミュレーションは重みではなく門です。 写真がACROSでレシピが CLASSIC CHROMEなら、一致はありません。85%でもありません。まったく違う絵作りで、そ れを平均して百分率にするのは、算術の格好をした無意味です。

惜しい候補は、違いを名指しします。 「一致87%」からは何の行動も導けません。 「写真は+2、レシピは+1、シャドウ」なら、何を変えればよいか正確に分かります。だか らアプリは、異なっている設定を列挙します。

片側しか持っていない項目は、採点せずに除外します。 自分のレシピがグレインを指 定していなくて写真が持っている場合、それを不一致と数えれば正直なレシピが罰せられ、 一致と数えればすべてのレシピを等しく甘く評価することになります。そこで除外し、実 際に何項目を比較したかを表示します。根拠の薄い一致は、薄いものとして読めます。

何の役に立つか

分かりやすい用途は、失った絵作りの復元です。もっと良い用途は、自分の作業の確認で す。あるレシピで一枚撮り、JPEGから読み戻して、思っていたとおりの設定がカメラに入 っていたかを確かめる。

アプリ自体の検証も、この方法で行っています。テスト機の七つのスロットを、まったく 異なる二つの経路で読みました。ケーブル経由と、各スロットで撮った写真からの読み取 りです。二つはすべての項目で一致しました。同じ七つのレシピの二通りの符号化で、ど ちらも他方から導かれたものではありません。

写真からのレシピ読み取りは、SimuLookでは無料です。パーサーが対応しているすべての カメラで使えます。必要なのはファイルだけです。


富士フイルムのフィルムシミュレーションレシピを読み取り、書き込むアプリ「SimuLook」の開発中に書いたものです。 対応カメラを見る · ほかのノートを読む